トイレの花子さん、人面犬、口裂け女など、有名なものから、近年では、映画「リング」に登場する貞子など、日本には都市伝説が無数にあります。
こういった都市伝説がどのように誕生し、日本中に広まっていくのか、知ってますか?
今回は、都市伝説がどのように出来上がっていくのかに注目します。
都市伝説が出来上がるステップ
- 出来事や噂が発生
- 口コミ
- マスメディアやインターネットの拡散
- 信憑性の拡大
- 定着と進化
1.出来事や噂が発生
都市伝説は、特定の出来事や噂が最初に発生することから始まります。これは通常、何か不可解な出来事や興味を引く噂話、または驚くべき体験に関連しています。
口裂け女は、1978年12月に岐阜県の八百津町で噂が発祥したとされています。
口裂け女の概要は、次のようなものです。
「ある少年が夕暮れ、学校から帰っていると、前から赤いコートをきた背の高い女性が歩いてくるのが見えた。その顔の半分ほどは大きな白いマスクで覆われていた。
少年がその女性の横を通り過ぎようとすると、女性が立ち止まり、『わたし、きれい?』と声をかけてきた。少年が、『きれいだと思います』と答えると、その女性はマスクをゆっくりと外す。
マスクの下から現れたのは、耳元まで大きく避けた女の口。女はその裂けた口で『これでもきれい?』と尋ねる。少年は慌てて逃げようとしたが、すぐに掴まれた。
少年が最後に見たものは、自分の顔に迫る鋭利なハサミの光景だった」
2.口コミ
最初の出来事や噂話は、口コミや口伝えによって広まります。人々は興味深い話を共有し、その話がどんどん広がっていきます。これによって、情報が歪曲されたり、誇張されたりすることがあります。
3.マスメディアやインターネットの拡散
口コミや口伝えだけでなく、マスメディアやインターネットの普及によって、都市伝説はさらに広まります。新聞記事、テレビ番組、ウェブサイト、ソーシャルメディアなどを通じて、情報が瞬く間に拡散されます。
口裂け女は、噂が発症したとされる1978年12月より、1か月後の1979年1月29日の「岐阜日日新聞」に初めてメディアに登場しました。それ以降、北海道から沖縄まで爆発的に日本中に広まっていくこととなりました。
1979年半ばには、小中学校の生活圏をたどって、ほぼ全国に波及したとされています。
4.信憑性の拡大
都市伝説は、しばしば情報の信憑性が曖昧な状態で広まります。そのため、真偽の判断が難しくなり、人々の想像力や恐怖心が勝る場合があります。
それが、地域社会やコミュニティ内で広まる場合、その情報に対する信頼度は高くなります。
また、テレビや雑誌などで拡散される場合も同様です。
近所の人だったり、自分の知っている人からの話だとしっかり聞いてしまいますよね。
5.定着と進化
一度都市伝説が定着すると、それが文化や社会に根付き、新たな要素が追加されたり、異なるバージョンが生まれたりすることがあります。時には、都市伝説が複数のストーリーラインや要素を組み合わせることで、新たな形に進化することもあります。
口裂け女に関しても、類似の話もたくさん生まれています。
『鏡の中の美女』『カシマさん』『原爆少女』『午前二時の美女』『整形オバケ』『ふた口女』などが挙げられます。
これらは、「遭遇した人間に『わたし、きれい?』という類の問いかけを行う怪異」と分類されます。
このようにして、都市伝説は人々の間で広がり、進化していきます。その過程で、現実の出来事や情報が歪曲されたり、想像力によって膨らまされたりすることで、より魅力的な話として人々の間に定着していきます。
有名な都市伝説の生い立ち
- 人面犬
- トイレの花子さん
1.人面犬
「人間の顔をした犬という姿をしている怪異」です。
ゴミを漁っていて、人間に注意されると、振り向いて「ほっといてくれよ」「うるせえんだよ」といった言葉を投げかけるという都市伝説。
異様な脚力を持ち、高速道路を走る車を追い抜かしていく、人面犬に追い抜かされた車は必ず事故を起こすというった都市伝説が語られています。
1988年~89年にかけて、ブームになった怪異です。
噂の発生元となった有名なものとしては、『筑波大学における遺伝子操作によって犬と人間が混ざり合った生物が生まれた』が挙げられます。
また『野良犬にかまれた女性が次第に人の頭を持った犬になった』『関東地方には恐ろしいウイルスをもった犬がおり、これに噛まれることで人面犬と化す』など噛まれることによる怪異化もあります。
狼男男や、吸血鬼、ゾンビのような変化の仕方ですね。
他にも『ペットショップで中絶された犬の水子の霊』『暴走族に飼い犬もろともひき殺された人の霊が正体である』という説もあります。
都市伝説の内容から想像しているのかもしれませんね。
噂⇒都市伝説、都市伝説⇒噂というルートもあるのかも・・。
2.トイレの花子さん
「学校の三階の女子トイレ、その三番目のドアを三回ノックし、『花子さん、遊びましょう』というと『は~い』と少女の声がする。
『何して遊ぶ?』と問いかけてくるが、これに対して、『おままごと』と答えると包丁で突き刺され、『首絞めごっこ』と答えると、首を絞められる」
というような内容の怪異です。
歴史は古く、1948年に岩手県で以下の話が語られています。
「体育館の便所の奥から三番目に入ると『三番目の花子さん』と呼びかけられ、下から白い手が出てきた」
噂の発生元としては、以下が挙げられます。
『戦争時の空襲でトイレに逃げ込み、そのまま空襲の犠牲となって焼死してしまった』
『変質者に追いかけられ、トイレに逃げ込んだが、結局そこで殺されてしまった』
『親から虐待を受けていて、学校のトイレまで逃げてきたが、そこで親に殺されてしまった』
これ以外にも、たくさんありますが、どれも悲惨な最期だった、というものです。
「トイレの花子さん」に関しては、その知名度の高さから、非常に多くの類似怪異が発生しています。
「学校のトイレで一定の行動を行う」怪異として
『エリカさん』『髪を切られた花子さん』『みよちゃん』『ゆう子ちゃん』など、女の子の霊から
『お岩さん』『おきくさま』など古典怪談を思わせるもの
『次郎くん』『花男くん』『太郎くん』のような男の子の霊、などなど
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
都市伝説が発生するのは、社会不安が影響しているとも言われています。
口裂け女がブームになった1979年頃は、夫婦共働きの家庭が増え、いわゆる「かぎっ子」が増えた時期となります。
暗くなり始める夕方、家に誰もおらず、一人で不安に過ごす子供たちが増えたことが、口裂け女という怪異が広まる起爆剤になったと考えます。
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